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館長のブログ
真珠博物館長・松月清郎による読み応えたっぷりのコラム。真珠はもちろん、文学、伊勢志摩の文化、歴史、民俗など、得意分野は多岐にわたります。
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「働く女性たち」館長のブログ190
真珠業界で働く女性を取り上げた小説をご紹介しよう。夜長のこの頃、図書館で探してみてはいかがだろうか。まずちょっと古いところから昭和39年から41年まで雑誌「女学生の友」に連載された平岩弓枝の『若い真珠』を。 ヒロインは比較的恵まれた家庭環境で明るく屈託がなく育ってきた。一方、対するアンチヒロインは複雑な生い立ちで、性格にややかげりがある。逆境に負けないガッツはあるが、ヒロインの恵まれた境遇にコンプレックスと反感を抱いている。彼女たちの交遊を巡って互いの行き違いが引き起こした事件は周囲を巻き込み、クライマックスが導かれるが、最後に二人は理解しあい、大団円で終わる。 これはジュニア小説の約束事で、若い読者は登場人物それぞれに自分自身を重ねながら読み進めるうちに、社会のルールや友情の涵養、道徳規範などを学ぶことができた。反感も共感も予定調和する安心感は独特の味わいで、ファンも多かったことだろう。 ヒロイン奈知子は14歳の中学生。アンチヒロインの久美は同じ年代に設定されているが、学校に行っている様子はない。これから実社会に出てゆく読者のために、いく
10月29日読了時間: 5分


「レプリカとフェイク」館長のブログ189
真珠博物館が開館してこの9月で40年を迎えた。特に文化史分野は収蔵品が少ない状態でスタートしたため、ジュエリー資料の入手は急務だった。ディーラーへの接近やオークションの参加、伝手をたどって所蔵者に譲渡を依頼したり、当時の御木本美隆会長に雑誌誌面で協力を呼びかけていただいたり...
9月17日読了時間: 4分


「アワビの真珠」館長のブログ188
夏の鳥羽志摩の味覚といえば、第一番はアワビだろうか。9月15日から禁漁期に入るので、そろそろシーズンも終わりにさしかかる。ずいぶん昔の夏の話、広報誌の取材で鳥羽市内の相差の浜を訪ね、海女さんと一緒の船に乗ってアワビ漁に同行したことがあった。前回のゴードン・スミスではないが、...
8月17日読了時間: 5分


「答志島を訪れた最初の英国人」館長のブログ187
インバウンドの来客が2000万人を超え(6月末現在)、真珠島の場内も時間帯によれば日本人の客数の方が少ないこともある昨今。その先駆けは明治時代にあった。アーネスト・サトウ、チェンバレン、イサベラ・バードらの著した紀行文によって日本に対する興味が西洋で高まり、旅行ブームが興っ...
7月19日読了時間: 4分


「自由の鐘、大阪関西万博へ」館長のブログ186
7月24日から大阪関西万博の三重県ブースで「自由の鐘」が出品展示される。御木本真珠店が1939年のニューヨーク万国博覧会に出品した美術工芸品だ。この機会に改めてその来歴を見ておこう。写真① ニューヨーク万国博覧会はアメリカ初代大統領ジョージ・ワシントンの就任150年を記念...
6月15日読了時間: 5分


「貝の沼」館長のブログ185
大阪自然史博物館で開催中の「貝に沼る」展を見に行った。「沼る」とはどっぷりはまり込んで抜け出せない状態をいうが、実際に貝の採取中にありそうな場面だ。地下鉄御堂筋線長居駅で下車、まだ蕾の堅い桜の並木沿いに歩くと、開催中の看板が迎えてくれる。...
3月13日読了時間: 4分
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